2013年 12月 16日
やっぱりノンクラスプ義歯はきらいだ〜その2〜 |
ブログとフェイスブックに「ノンクラスプ義歯」のことを書いたら思わぬ方々からメールや反応をいただきましたので、もう少し加筆してみることにしました。同業以外の方には随分と硬く退屈な話題になることは御容赦下さい。
DMや研修会の案内でここ数年「ノンクラスプ義歯」が増えてきているのは感じていました。最近では業者のみならず大学や学会でもこの義歯への研究などがされているようですが、私はこれまでこの手の義歯を患者さんの口にいれたことは一度もありませんし、興味もありません。その理由を数回に分けて書いてみようと思います。
パーシャルデンチャーの支台装置(維持装置)に求められるのはSupport>Bracing>Retentionであることは多少なりとも勉強した歯科医師であれば疑う余地なく理解できることであり、今後もこれが覆されることはないと確信しています。テレスコープ、アタッチメントやクラスプにかかわらず良質な部分義歯(支台装置)とは「噛んだ時に沈まない、横揺れしない、つまり動かない。外すのにはさほど大きな力を必要としない」が原則であると思います。しかしながらいわゆる「ノンクラスプ義歯」にはSupport>Bracing>Retentionといった概念は全くありません。おそらくその発想の元を辿っていくと「入れ歯を入れて痛い→ならば、軟らかい材料で作ればいいだろう」「入れ歯をいれたら金属が見える→ならば、金属のばねを取り払えばいいだろう」といった単純な発想であり、いままで積み重ねられたパーシャルデンチャーの臨床や研究の延長上にあるものではなく、突発的に考案された代物であるはずです。
少し話が脱線しますが、義歯の維持装置である「マグネット」も同じような経緯であろうかと思います(多少これには異論がある方もおありでしょう)。
支台装置の優先順位が前述したSupport>Bracing>Retentionであるのに対し、マグネットはRetentionを第一義に開発されています。当初良く使われたのが、最後に残った1本ないし2本の犬歯への摘要でしたが、最近では話題に登ることもすくなくなり、その長期経過症例にいたっては皆無といってもよいでしょう。少なくとも天然歯を支台とした義歯にマグネットはむいていなかったことの証左でしょうし、他の支台装置と比してもミュータント的な位置づけになろうかと思います。
パーシャルデンチャーに最も必要とされるサポート機能がないノンクラスプ義歯はかつて考案されたフレキシブルアタッチメントやレストがないワイヤークラスプが淘汰されていったように同じ運命を辿るのではないでしょうか。そしてそのツケは歯科医師側ではなく、患者さんの顎堤や歯牙に回ることも想像に難くなさそうです。(続く)
DMや研修会の案内でここ数年「ノンクラスプ義歯」が増えてきているのは感じていました。最近では業者のみならず大学や学会でもこの義歯への研究などがされているようですが、私はこれまでこの手の義歯を患者さんの口にいれたことは一度もありませんし、興味もありません。その理由を数回に分けて書いてみようと思います。
パーシャルデンチャーの支台装置(維持装置)に求められるのはSupport>Bracing>Retentionであることは多少なりとも勉強した歯科医師であれば疑う余地なく理解できることであり、今後もこれが覆されることはないと確信しています。テレスコープ、アタッチメントやクラスプにかかわらず良質な部分義歯(支台装置)とは「噛んだ時に沈まない、横揺れしない、つまり動かない。外すのにはさほど大きな力を必要としない」が原則であると思います。しかしながらいわゆる「ノンクラスプ義歯」にはSupport>Bracing>Retentionといった概念は全くありません。おそらくその発想の元を辿っていくと「入れ歯を入れて痛い→ならば、軟らかい材料で作ればいいだろう」「入れ歯をいれたら金属が見える→ならば、金属のばねを取り払えばいいだろう」といった単純な発想であり、いままで積み重ねられたパーシャルデンチャーの臨床や研究の延長上にあるものではなく、突発的に考案された代物であるはずです。
少し話が脱線しますが、義歯の維持装置である「マグネット」も同じような経緯であろうかと思います(多少これには異論がある方もおありでしょう)。
支台装置の優先順位が前述したSupport>Bracing>Retentionであるのに対し、マグネットはRetentionを第一義に開発されています。当初良く使われたのが、最後に残った1本ないし2本の犬歯への摘要でしたが、最近では話題に登ることもすくなくなり、その長期経過症例にいたっては皆無といってもよいでしょう。少なくとも天然歯を支台とした義歯にマグネットはむいていなかったことの証左でしょうし、他の支台装置と比してもミュータント的な位置づけになろうかと思います。
パーシャルデンチャーに最も必要とされるサポート機能がないノンクラスプ義歯はかつて考案されたフレキシブルアタッチメントやレストがないワイヤークラスプが淘汰されていったように同じ運命を辿るのではないでしょうか。そしてそのツケは歯科医師側ではなく、患者さんの顎堤や歯牙に回ることも想像に難くなさそうです。(続く)

by matsudas1933
| 2013-12-16 14:23
| 歯科臨床